
はじめに
「どうやってチームをまとめたらいいんだろう?」
私、ALT+編集長が、大きなマインドチェンジを迫られたのが、初めてある組織のリーダーに抜擢されたとき。あの時の自分は、リーダーという存在に対してとても無知で、学ぶこともせず、学生時代のサークル経験の延長線上で、なんとなく自己流でリーダーを努めていました。次第に、思ったとおりに結果が出せなかったり、メンバーとの会話が噛み合わなかったりと、悪循環に陥り、ふと周りを見渡せば孤独な状態になっていました。そこでようやく自分の無知さに気付き、周りにサポートしてもらいながら、学びを得たことで立て直すことができましたが、その後は教訓を得て、逆にチーム作りへの苦手は無くなっていき、50名を超える組織の長や、複数の大型プロジェクト組織の責任者を歴任することができました。
本記事では、リーダーの初心者に近い方々を想定して、すぐに実践できる7つのステップを紹介します。最初から”威厳”を見せる必要など全くありません。大切なのは、信頼を少しずつ積み重ね、仕組みを整えていくこと。ここでは、背景や理由も交えながら、チームの「デザイン」と「実行」の観点で解説していきますので、安心して一つ一つ取り組んでいきましょう。
ステップ1:チームの意義・使命・将来像を言葉で表す

デザイン:
チームの意義・使命(=ミッション)、将来像(=ビジョン)を言語化し、判断や行動の基準を設定します。
実行:
メンバーを集め、自分が設定したミッション・ビジョンを堂々と発表します。その後、定例会などを通じて繰り返しミッション・ビジョンを共有し、現在のチームが当初設定した内容と比べて、どのような状態になっているか、軌道修正は必要がないかを定期的に確認します。
ステップ2:自分とメンバーの「特性」を知る
デザイン:
リーダー自身やメンバーの特性を把握するための手段を決定します(自己紹介シートや1on1など)。
メンバーを知り、リーダーである自分を知ってもらい、互いの距離感を適度に詰めながら適度にキープできる形を作るためには何ができるかをじっくり考えていきます。
実行:
自分がデザインした手段を通じて、リーダー自身を含む自己分析結果をもとに、自分とメンバーの間で共有をはかります。
ステップ3:自分とメンバーが戦う場所を決める
デザイン:
リーダー自身が戦う場所と、メンバーが戦う場所を決めます。
リーダーは、自組織の長。リーダーの役目を与えた自分の上長や、社内の関係組織とも責任を持って対峙します。
メンバーは、自組織のミッションを果たすためにサービスを提供する者。与えられたフィールドで成果を出します。
実行:
リーダーが設定した戦場を、それぞれのメンバーに伝えます。小さな疑問点もすべて受け止めて誠実に回答します。
利益と負担の間で矛盾がある場合は、リーダーが責任を持って最適解を考えますが、答えが出ない場合は戦う場所の設定から見直すことも考慮します。
ステップ4:情報が行き渡る仕組みを作る

デザイン:
チームの透明性を高めるために、オープンにすべき情報を先に定義し、「誰に・何を・どう共有するか」を設計します。
実行:
定例会を設定し、双方向の情報共有の時間を設け、チーム全体が現状を正しく把握するように努めます。
決定事項や今後の方向性に関する重要な指示などは、チャットや共有ドライブに記録を残す、メール等を駆使して何度も刷り込むなど工夫して運営します。
ステップ5:「競争」と「協力」を生む手段を決める

デザイン:
チームが成長するための自助努力1として、メンバー間の「競争関係」と「協力関係」をどのように作り上げるかを考えます。
縦割りにせざるを得ないもの、横串で協力すれば全体の成果が上がるもの、チームナレッジとして浸透させれば地力(じりき)が上がるもの、といった要素を中心に考えていきます。
実行:
全体を見渡し、監視します。当初の目論見通りに進んでいない場合は、その原因に踏み込み、縦割りと横串の関係を見直したり、個人の負荷のバランスを調整したりします。
成果発表では個人の努力を称えると同時に、「チーム全体」で貢献した成果も忘れることなく強調します。
ステップ6:タスクを全部洗い出して整理する
デザイン:
ステップ1〜5の検討内容を踏まえ、チームのタスクをすべて洗い出します。サービスを提供する直接的な業務だけでなく、チームの運営事務や、協力に値するタスクもすべて含めることが重要です。
それぞれのタスクにはKPIを設定し、人事評価との整合性を確認しておきます。
実行:
定例会で、リーダー含めて、自分のタスクと進捗をKPIに沿って報告します。報告は、ミッションに対する現在のステータスと、短期・中期の達成シナリオを中心に共有するとスムーズに進行します。
個人のパフォーマンスの良し悪しは、大衆の面前ではなく、1on1などを通じた根本部分からの対話を心がけましょう。
ステップ7:評価方針を事前に合意する
デザイン:
ステップ6で割り振ったタスクとKPIをベースに、具体的な目標・基準・評価方針を合意します。プロジェクト・アサイン型の組織の場合は、アサイン先のプロジェクトの中での具体的な振る舞いや成果をKPIに落とし、客観的な判断ができるようにします。
実行:
評価方針は、リーダーとメンバーが双方で積極的に決めます。
実施段階では、1on1を定期的に行い、事実に基づき観測・フィードバックをします。
リーダーは、メンバー個人の成長を願い、オンリーワンの絶対的な評価することが基本ですが、他のメンバーの動向やパフォーマンスも知り得る立場にいますので、複数のメンバーを自分の頭の中でイメージしながら、相対的に良い点と改善点を具体的に伝えることで、競争意識を高めます。
補足:壁打ち相手を決める
リーダーとして懸命にデザインした仕組みをいざ実行してみると、思い描いたとおりに進まないこともあるでしょう。そのとき、リーダー自身が孤独になってしまい、最初は勢いが良かったが、フェードアウトしてしまった、等という事態に陥るのは非常に寂しいことです。
それを回避するためには、できる限り早く、自分をオープンにして、いろいろなメンバーに壁打ち相手になってもらい、早々にフィードバックを受け入れて改善しておくと良いと思います。
ただし、「要望を聞く」スタンスで聞きすぎてしまうと、自分が答えきれずに溢れてしまうため、それはそれで良くない方向に進んでしまいます。不公平感が出ないように上手にフィードバックを得る、そうしたバランスで臨むことが肝心です。
おわりに
強いチームには「仕組み」があり、互いに「安心」して仕事ができる環境が整っています。リーダー初心者が意識すべきは、自分を立派に見せることではなく、信頼を積み重ね、タスクや評価を透明にすることです。
みなさまのチームが自然と成長し、成果を出せる集団となり、愛すべき存在になるために、この7つのステップのうち1つでも多く、参考になれば幸いです。
今後とも、ALT+編集部をよろしくお願いいたします。
脚注
- 自助努力(じじょどりょく):自分の力で困難を乗り越え、目標を達成しようとすること ↩︎
タイトル画像:Canvaにて生成、本文中のイメージ図は全てALT+編集部にて作成
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